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episode.04

食卓に小さな幸せを ―
清々しい風の通う小さな牧場

 大隅南部に広がる照葉樹林帯の麓。ふくどめ小牧場では「幻の豚」と言われる純粋サドルバック種とその交配種「幸福豚」がのびのび育まれています。愛情たっぷりに育った健やかな豚肉を原料としてドイツ食肉マイスターの技で手づくりされるハム、ソーセージは格別。加工場と売店、レストランが併設されている小牧場では、散策しながら加工風景を見学し、お土産を品定めするなど、ゆったりとしたランチタイムを過ごせます。大隅にいながらヨーロッパの村に来たような気分を味わうことができます。

 豚の飼育から製造加工、販売まで、一貫して家族で運営しているのも特徴です。「小牧場」の「小」の文字に込めたのは「見栄を張らず正直にいこう。小規模に続けて質を向上させよう。おいしいものを食べる小さな喜びを届けよう」という3つのコンセプト。家族が力を合わせて営む小牧場には、清々しい大隅の風が吹いています。

ふくどめ小牧場
開放的なエントランスを囲むように造られた加工場とレストラン。天気の良い日は屋外で、本場ドイツ仕込みの贅沢な味わいが楽しめます。ふくどめ小牧場
開放的なエントランスを囲むように造られた加工場とレストラン。天気の良い日は屋外で、本場ドイツ仕込みの贅沢な味わいが楽しめます。

父の夢、息子の目標を叶えた
世界視野の「英才教育」

 福留公明さん・鶴美さん夫婦は30年以上養豚に携わって来ました。「生産者は、自分で育てた豚を出荷した後は、どこで売られているかわからんのです」公明さんは、可愛がって育てた豚だから、加工・製造、販売まで自ら手がけたいという夢を抱いていました。幸い、息子たちは子どもの頃から家業を継ぐ意思を持っており、高校を卒業すると同時に全員、語学留学のためイギリスへ。その後、長男の俊明さんは養豚の先進地であるオランダ、次男の洋一さんは食肉加工の本場ドイツ、長女の智子さんは経済発展を遂げる中国での研修へ。「今からの時代は、語学力と専門的な知識や技術を早く身につけた方がいいと思ってですね」と公明さん。ドイツで7年間修行して食肉マイスターの資格を取得した洋一さんの帰国を待って平成26(2014)年、家族は、ふくどめ小牧場をスタートさせました。俊明さんが育てる豚を洋一さんが製造・加工し、智子さんが販売・広報を担当しています。

福留さんご一家
この人たちが作るものに間違いはない、と思わせる正直で飾らない気質が福留家の持ち味。“家族愛”がおいしさのもうひとつのスパイスになっているのかもしれません。福留さんご一家
この人たちが作るものに間違いはない、と思わせる正直で飾らない気質が福留家の持ち味。“家族愛”がおいしさのもうひとつのスパイスになっているのかもしれません。
(左)福留智子さん (右)福留公明さん
「自分が食べ歩きをしたいから、お父さんはお兄ちゃんのいたヨーロッパばっかり行ってたんです」「早よ、いい人を見つけんね」。素敵な仲良し親子に元気をもらいます。(左)福留智子さん (右)福留公明さん
「自分が食べ歩きをしたいから、お父さんはお兄ちゃんのいたヨーロッパばっかり行ってたんです」「早よ、いい人を見つけんね」。素敵な仲良し親子に元気をもらいます。
次男の洋一さんは7年間の修行を経て、ドイツ人でも合格が難しい食肉マイスターの資格を取得した情熱の人。次男の洋一さんは7年間の修行を経て、ドイツ人でも合格が難しい食肉マイスターの資格を取得した情熱の人。

いのちを愛おしみ、おいしく生かす「食」の知恵

 「自分で大切に育てた豚を、食べる人に直接届けたい」という家族の夢は、ふくどめ小牧場のスタートにより現実のものとなりました。「日本では、売れずに捨てられる部位もありますが、全部加工して食べるのがドイツでは当たり前なんです」。ソーセージやハム、ベーコンなどに加工するのは、大切ないのちを全て無駄にすることなく食べるヨーロッパ伝統の知恵。畜産の本場、大隅でこそ根づかせたい食文化と言えるでしょう。とりわけ脂身に旨味がのったサドルバック種と、その血を引く「幸福豚」は加工用として適しています。塩を減らし、独自配合の香辛料で風味を増したソーセージやハムは、噛むほどにジューシーな旨味が口中を満たします。「可愛がって育てた健康な豚を、息子がドイツのレシピ通りに大事に加工してね。これだけ念を入れたらおいしいはずだなと私も思います」。養豚のプロから見ても驚くほどの品質だと公明さんは目を細めます。

ふくどめ小牧場は、日本でサドルバック種を飼育する唯一の牧場。丁寧に育てた貴重な豚肉を使い、ドイツ仕込みのレシピで一つひとつ丁寧に作られていく。
ふくどめ小牧場は、日本でサドルバック種を飼育する唯一の牧場。丁寧に育てた貴重な豚肉を使い、ドイツ仕込みのレシピで一つひとつ丁寧に作られていく。
ふくどめ小牧場は、日本でサドルバック種を飼育する唯一の牧場。丁寧に育てた貴重な豚肉を使い、ドイツ仕込みのレシピで一つひとつ丁寧に作られていく。

ゆっくり味わって、楽しんで、
鹿屋で実現する「おもてなし」

 ふくどめ小牧場では、縁あって注文を受けたレストランやお店などには精肉や加工品を卸していますが、農場を大きくしたり、店舗を増やしたりする考えはありません。「自分たちの目の届かないところでやると品質が落ちたりコンセプトが崩れますから」ふくどめ小牧場のポリシーは家族共通の思いです。次なる目標は、酪農家とも手を組んでチーズやピザや作ることだそうです。「テレビでおいしいものを観れば生つばを飲むでしょ。遠くへ行かなくても、ここでおいしいものを食べられるといいですよね」公明さんの笑顔には屈託がありません。「この景色の中で、おいしいものを食べてゆっくりしてね、と。鹿屋でできるのはそんなおもてなしです」中国や東京での仕事を経て帰郷した智子さんは田舎ならではの良さを実感しています。

 この日、たまたま訪れたドイツ人のお客様が「故郷の味と全く変わらない」と大喜びされていました。おいしいものは万国共通の「口福」なのです。

加工場に隣接したイートインコーナーではハンバーグ、サンドウィッチなどを楽しむことができる。漂う香りから肉の実力がうかがえます。加工場に隣接したイートインコーナーではハンバーグ、サンドウィッチなどを楽しむことができる。漂う香りから肉の実力がうかがえます。
量り売りされるハム、ベーコン。種類の多さに迷った時は、売り場の人に好みや食べ方を伝えてアドバイスを。量り売りされるハム、ベーコン。種類の多さに迷った時は、売り場の人に好みや食べ方を伝えてアドバイスを。
5種類のハムと4種類のパンからチョイスしてオーダーするサンドウィッチ。全制覇してみたくなる。テイクアウトも可。5種類のハムと4種類のパンからチョイスしてオーダーするサンドウィッチ。全制覇してみたくなる。テイクアウトも可。

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