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episode.06

希少な国産菜種油をつくり続けて80年

 3月。大隅を車で走っていると、黄色い絨毯が目に飛び込んできます。そう、菜の花畑です。今でこそ少なくなったそうですが、かつてこの辺りでは菜種油をつくる会社が多かったそうです。今では鹿児島県内でわずか数軒だけ。それでも全国的には多いそうで、いかに菜種油が希少になってきたかが分かります。

 昭和11(1936)年創業の村山製油は、そんな数少ない菜種油をつくる会社。現在は3代目となる村山博隆さんが、国産の菜種だけを釜煎り圧搾し、無添加で仕上げた菜種油をつくっています。

 「一般的なサラダ油と比べて、油自体に旨味があるんですよ。低い温度でもカラッと仕上がって、いくら食べても胸焼けしないんです」と話すのは、博隆さんのお母さんの村山トシさん。トシさんは本当に話し上手で、気づけば話題は菜種油から、黒豚味噌の話になっていました。

村山製油株式会社 村山さん親子
村山製油3代目の村山博隆さんと、お母さんのトシさん。今では希少となった菜種油を一緒に作り続けています。村山製油株式会社 村山さん親子
村山製油3代目の村山博隆さんと、お母さんのトシさん。今では希少となった菜種油を一緒に作り続けています。
菜種の外側は黒ですが、中は菜の花と同じ黄色をしています。化学薬品や添加物を一切使用しない、無添加で仕上げた純粋の菜種油です。菜種の外側は黒ですが、中は菜の花と同じ黄色をしています。化学薬品や添加物を一切使用しない、無添加で仕上げた純粋の菜種油です。

料理上手な母のレシピを再現。黒豚味噌を商品化

 実は村山製油の看板商品には、菜種油ともう一つ、黒豚味噌があるのです。「なぜ油屋さんが味噌を?」と思われる方も多いでしょうが、その理由はトシさんの生い立ちを聞けば分かります。

 トシさんの実家は、住み込みの職人さんを10人も抱えるお宅だったそうです。そのため、トシさんのお母さんは職人さんたちの食事の世話もしていたそうで、それは料理上手だったといいます。

 「もう、何でもかんでも自分でつくる母でした。その母が手作りしていたものの一つが、黒豚味噌なんです」とトシさん。お母さんの手伝いをしながら台所で覚えた母の味。村山製油に嫁いだ後も、トシさんは自分で黒豚味噌をつくり始めました。それをご近所さんたちに配っていると、ある日知り合いのお味噌屋さんから「うちの味噌を使って、この黒豚味噌を商品化しないか」と持ちかけられ、ここからトシさんの奮闘劇が始まりました。

トシさんのオススメは、餃子の皮に黒豚味噌とクリームチーズを入れて揚げ餃子にする食べ方。ぜひご賞味あれ!トシさんのオススメは、餃子の皮に黒豚味噌とクリームチーズを入れて揚げ餃子にする食べ方。ぜひご賞味あれ!
こだわりの黒豚肉は、脂身が透明になって甘味があるもの。昔食べていた黒豚肉に近いものを探し、やっとたどり着いたのだそう。
こだわりの黒豚肉は、脂身が透明になって甘味があるもの。昔食べていた黒豚肉に近いものを探し、やっとたどり着いたのだそう。
こだわりの黒豚肉は、脂身が透明になって甘味があるもの。昔食べていた黒豚肉に近いものを探し、やっとたどり着いたのだそう。

おいしさの秘密は素材とトシさんの人柄

 黒豚味噌商品化への道は、素材選びから始まりました。「うちは後発組。だからこそ、本当にこだわったものを作りたかった」とトシさん。中でもこだわったのが豚肉で、昔食べていた黒豚肉に近いものを1年もかけて探したと言います。そして肝心なのが菜種油。国産の菜種油を使った黒豚味噌は、よりコクがでるのだとか。

 「嫁いだ先がたまたま菜種油屋さんだったからよかったわ」と笑うトシさん。苦労を苦労とも思わず楽しんで新しいことにチャレンジするトシさんの人柄や温かさが、自然と運やツキを呼びよせているようにもみえました。

 トシさんの温かさを物語るエピソードは、村山製油の店頭にもあります。なんと知り合いの会社の製品をわざわざ仕入れて置いているのです。「うちで紹介できたらと思ってね。大隅は大地が広いから大らかな人が多くて、みんな仲良しなのよ」と話すトシさん。大隅を代表するような大らかな心の持ち主のトシさんの魅力に、あっという間に惹き込まれてしまいました。

菜種油の原料となる菜の花はもちろんですが、他の商品の原料も自家栽培のものが多いのが特徴。菜種油の原料となる菜の花はもちろんですが、他の商品の原料も自家栽培のものが多いのが特徴。
トシさん手作りのがね(さつまいも入りかき揚げ)。菜種油で揚げると、カラっと揚がり、油の旨味まで楽しめます。トシさん手作りのがね(さつまいも入りかき揚げ)。菜種油で揚げると、カラっと揚がり、油の旨味まで楽しめます。
まるで実家に帰ったような気持ちにさせてくれるトシさん。また会いに行きたくなる素敵なご家族でした。
まるで実家に帰ったような気持ちにさせてくれるトシさん。また会いに行きたくなる素敵なご家族でした。

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