釜と薪で煮詰める昔ながらの塩づくり
多くの観光客が訪れる本土最南端、佐多岬。そのすぐ近くに、とある一軒の家屋があります。薪を焚くいい香りと煙がたちこめるその家屋から、「こんにちは」と顔を出したのは、ここで塩づくりを行う森大輔さんです。
森さんは、ひと月に二度訪れる大潮の日に、佐多岬のきれいな海水を汲み上げ、薪をつかって釜で煮詰めるという昔ながらの製法で塩づくりを行っています。1トン半の海水から取れる本当においしい塩は、わずか30キログラムというから驚きです。じっくり煮詰めてえぐみを無くし、塩本来の旨みを引き出す森さんの塩は、とてもまろやか。素材そのものの味を引き立てると好評で、リピーターも多いのだとか。
「海水に含まれる不純物は、火を通さないと取れないんです。うちはそれを地道にていねいにすくっています」と森さん。塩を楽しんでもらいたいという想いから、自らがつくる塩に、「楽塩」という名前をつけたそうです。

現在、南大隅町の体験プログラムの一つとなっている「楽塩」の塩づくり。「佐多岬に訪れた人の想い出が、また一つ増えるとうれしい」と話してくださいました。


