心には、いつも父。二人三脚で歩む職人の道
曽於市大隅町の津留安郎さんは、芋焼酎の蒸留に使われる木樽を作る職人です。腕の良い職人だった父・辰矢さんに9年前に弟子入り。教えを請いながら二人三脚で木樽製作に携わってきましたが、平成26(2014)年9月、辰矢さんが逝去。現在、国内唯一の焼酎用木樽職人として父から受け継いだ木樽作りに精励しています。
サラリーマンを辞め、父の跡を継いだ理由は「ほかに職人がいなかったし、メンテナンスだけでもできるようになったら、この先、蔵元さんに迷惑をかけないんじゃないかな、と思って」。津留家の木樽は現在、県内の焼酎メーカー14社に導入されています。杉と竹だけでできている木樽の寿命は3年から9年。メンテナンスや作り替えが必要なのです。
「設計図は親父の頭と手の中だけ。見よう見まねだったけど、師匠が親父だったから覚えることができました」。褒めて伸ばしてくれた優しい父に助けられ、楽しく仕事をしてきたと津留さんは話します。

「ちゃんとした物を作らんとですね」。実直で心やさしい職人気質は父譲り。先代の技術に追いつけるように日々研鑽を重ねています。


