古式ゆかしく900年受け継がれる祈り
毎年10月の第3日曜日、肝付町高山の四十九所神社に奉納される高山流鏑馬は、900年の長きにわたって継承されている伝統行事です。鏑矢を放つ「射手」には神が宿るとされ、五穀豊穣、悪疫退散、国家安泰を祈願する神事です。毎年、射手が交代するところが高山流鏑馬の特徴。かつて、射手は麓の郷士の家の若者から選ばれる決まりでしたが、現在は町内の中学2年男子の中から選出されます。射手は、馬に慣れるところから始まり、約50日間、練習を繰り返します。奉納前には海で身を清め、2日間の宮籠りと川での禊を行って心身を整えます。
神事当日。神の化身となった射手は雅やかな狩衣装束、綾藺笠を身にまとい、神馬とともにおよそ300mの馬場を3回走り抜け、合計9本の矢を放ちます。落馬の危険と恐怖心、人々の期待という大きなプレッシャーを背負いながらも大役を果たす若者のひたむきな姿は、見る者に熱い感動を与えてくれます。

豊宇気毘売大神、天照大御神をはじめ四十九柱を祀る神社。肝付氏の守護神として栄え、以来、大隅一円の宗社として崇敬されています。



