「どこまでも広がる黄金の世界」
園主の中馬吉昭さんが言うようにそこに広がっているのはまさしく”桃源郷”でした。
今では第一回鹿児島景観大賞を受賞し、垂水市を代表する名所になった垂水市の垂水千本イチョウ。
見頃を迎える11月後半になると多くの観光客が訪れ夜にはライトアップされた黄金に光る千本イチョウを楽しみます。
特筆すべきはここは私有地であり、無料で一般公開されているということです。
「自己満で始めたことを多くの方が喜んでくれるのは嬉しいですね。」と中馬さんは言います。
東京出身の中馬さんが奥様の故郷である垂水市にIターンし、イチョウ園づくりを始めたのは昭和53年のことでした。
「初めて垂水を訪れたとき、ここから見える錦江湾と桜島の景色に感動すると共に、地元の素晴らしさを伝えるものがないことを残念に思いました。」
その時、大好きな神宮外苑のイチョウ並木の風景を思い出し、実家の山にイチョウを植えることにしたのです。
元々山には体さえ入らないほど雑草が生い茂っていました。夫婦で丸一日作業をしても一日に開墾できるのはほんのちょっと。
現在の美しい風景は、ご夫婦が休日に草を刈っては木を植える生活を30年以上続けたご尽力の結晶です。
苦労して植えた約1200本の木はおふたりにとって我が子のような存在です。
「間伐した方が大きくなると分かっていてもかわいそうでできませんね。」と中馬さんは優しく笑います。
園内にはイチョウの見頃と同時期につわぶきも黄色い花を咲かせます。ほかにも来場される方が年中楽しめるように、春に咲く桜と水仙、夏にはカブトムシが寄ってくるドングリなどを植えているとのことです。
「何の打算もなく長い時間をかけて物事を達成するのは、並大抵のことではありませんが、多少の体力とやろうと思う意思があればできますよ。」中馬さんは穏やかに話します。
おふたりの”桃源郷”はまだまだ未完成。ここが四季を楽しめる楽園になる日まで、夫婦二人三脚の挑戦は続きます。
〒891-2111 鹿児島県垂水市新御堂
https://www.city.tarumizu.lg.jp/kanko/koi/miryoku/meisho/senbon.html