錦江町の挑戦を伝えるメディアとして、「錦江帖」というWebサイトが昨年立ち上がりました。
錦江帖では、農家さんをはじめ養殖業やサロンなど、様々な分野で挑戦されている町民さんたちのインタビューやお仕事情報などが掲載されています。
錦江町の風光明媚な写真と共に、町の人の思いが伝わってくる錦江帖はどのようにして生まれたのでしょうか?
企画を担当されたエーゼログループの大井さんにお話を伺いました。
大井さんが所属されているエーゼロは、錦江町の事業者さんたちが新しい事業をするためのサポートや、錦江町を舞台に起業する人を募集することをメインに活動されています。
「全体のミッションとしては、町の中で新しい挑戦が生まれて、それをみんなが応援できるような文化をつくっていくというものです。錦江帖というメディアも、町内で挑戦している人を外に発信することで、錦江町に関わる人がより増えたらいいなと思って作ることになりました」
これまでエーゼロは岡山県の西粟倉村や北海道の厚真町など、新しい事業が生まれる土壌づくりを進めてきました。そんな事業を進める中で大井さんは、挑戦を受け入れる文化がまちにとって大切な要素だとおっしゃいます。
「地域で何かやりたい人がでてくると、それを応援する人が出てきて、そこに触発された人がまた何かやりたいという風に、色々な事業が生まれてくる。そこに雇用が生まれたり新しい経済が回っていくのではないかなと思っています。その入り口となるメディアとして錦江帖があればというのがありました」
錦江町は、ほぼ本土最南端で高齢化率も県内2位。人口が減り続けており課題先進地であるため、大井さんも錦江町を取り巻く環境については当初ネガティブな印象を持っていたそうです。しかし、インタビューを通してエネルギーあふれる町だと感じたとおっしゃいます。
「諦めずにチャレンジしてる人たちがこんなにいるんだって思いましたね。現状に悲観的になっているかといったら全然そうではなくて。自分たちができることをやっていこうっていうエネルギーに溢れていて、すごく素敵でした」
また一方でインタビューされた方からは、「思いを話す機会が今までなかったからよかった」という声や、「お世話になっている人に頑張ってるねって言ってもらえた」と嬉しい反響があったそうです。
「取材させていただいた方の中でも、忙しくてとにかく前だけ見てやってきたけど、こんなところまできていたんだって振り返る機会になったのかなと思いますね」
錦江帖は、もともとWebサイトのみで発信する予定でしたが、町内の人たちにもこの挑戦を知ってほしいという思いから冊子を制作し、町内の全戸へ配布しました。
「町内の人も意外と町の人の思いを知らないから、インタビューさせていただいた方々の熱が伝播していって、この町の機運を高めていくんじゃないかとなりました。振り返ってみて、冊子にしてよかったなと思います。エーゼロも何をやってるかわかりづらい会社なので、あの冊子をつくった会社さんねっていう風になったし、町の人たちからも『錦江帖見たよ』って声をかけていただけたことがすごく嬉しいですね」
さらに、町や自分自身について考えるきっかけになれたらと、町内の小学校高学年と中学生にも冊子が届けられました。(参考記事)
「自分の住んでいる町って田舎だけどすごくいい町かもしれないなとか、なんか面白そうじゃんっていう雰囲気が新しい人を呼び込んでくると思っているんですよね」とおっしゃる大井さん。錦江帖を単なるウェブメディアとしてではなく、関わる人たちのハブとなるメディアにしていきたいと語ります。
「インタビューを見て終わりだと結局関わりを持てないから、おしごと情報で関わりしろを持てるかなと思っていて。求人情報だけじゃなくて、事業者さんのイベントのお手伝いとかも含めておしごと情報という名前にして載せています。事業者さんにも、求人情報だけでなくて、『応援してくれる人を募ってみませんか』とか、そんな提案ができるようになればいいなと思いますね。それを見た人が行ってみようって錦江町にきて、その渦に巻き込まれていったらいいなと。そんなメディアにしていきたいと思います」
いろんな町を見ていると、いい町は面白い人がいる町だなと思います。面白い人には面白い人が集まる。挑戦している人たちの話を聞くと、エネルギーが湧いてきたり、自分も何かやってみようと思える。錦江帖を通じて、そんな新たな挑戦や出会いが広がっていくのが楽しみです。
何か錦江町に関わってみたいという方はぜひ錦江帖を覗いてみてくださいね。
鹿児島県肝属郡錦江町神川3306番地4
山田みなみ