本土最南端の田舎町で大自然を感じながら、ナチュラルコスメの最先端に触れる…。そんな贅沢な体験ができる施設が、南大隅に誕生しました。南大隅の入り口から佐多に向かう海沿いに見える、「ボタニカルファクトリー」です。
ボタニカルファクトリーは、廃校になった学校の校舎を工場としてナチュラルコスメを製造する、本土最南端の化粧品メーカーです。鹿児島県でナンバーワンの高齢化率を誇る南大隅町では、2013年に多くの小中学校が統廃合されました。そのうちの一つである登尾小学校も、たった1人の生徒を最後に廃校へ。増え続ける廃校の活用は、日本全国で課題となりつつあります。
そんな中、校舎の一部を改修し、化粧品工場として活用したのがボタニカルファクトリー代表の黒木靖之(くろき・やすゆき)さん。「大隅半島は、約4000種類の植物が生息する自然豊かな地域です。特に最南端にある南大隅は、月桃やホーリーバジルなど、亜熱帯にしか見られない植物も多く存在します。そんな植物資源を活かせば、ここにしかない商品を作れると確信したんです」と真剣な表情で語ります。
2016年から登尾小学校を工場に改造し、事業をスタート。本格的な蒸留装置を導入し、地域の農家と出荷契約を結びました。月桃・ホーリーバジル・タンカンといった植物を仕入れ、エキスを抽出して独自の製品を生み出します。「植物を直接蒸留することで、精油やエッセンシャルウォーターを採取することができます。それらをふんだんに使用した石鹸や化粧水を作り、だんだんと商品の幅を広げていきました」と黒木さんは笑顔で話します。
大阪での仕事が長かった黒木さんが、地元で初めて本格的に取り組んだ化粧品開発。地域でのビジネスは苦労も多かったそうですが、続けるうちに軌道に乗ってきます。2021年にはサスティナブル・コスメアワードのシルバー賞に輝き、日本国内だけでなく中国企業からの受注生産も増加。現在は県外の百貨店での販売や、オンラインでの販売にも力を入れています。
2022年1月から、小学校の隣にある登尾中学校の校舎も活用できるようになり、本格的な体験ワークショップができるようになりました。その中でも力を入れているのが、アロマフレグランス作りです。「20種類の精油を配合して、オリジナルのアロマフレグランスを作ることができます。現在は週に一回10人ほどのお客様がいらっしゃるのですが、皆さん満足いただけているようで嬉しいですね」と笑顔で話します。
中学校工場の自慢は、なんといっても「天空のウッドデッキ」。雄大な錦江湾と手付かずの原生林に囲まれた登尾中学校は、大自然を感じるには最高のスポットです。ワークショップの後は屋上でランチを楽しみ、お得な値段でお土産も購入できます。
「香りは脳の奥深くに刻まれるもの。南大隅の大自然を感じながらお気に入りのアロマの形を見つけ、日々の生活の中でも素敵な旅の記憶を思い出してもらえればと思います。」と笑顔で語ります。
大隅の大自然を五感で味わう、ここでしかできない体験。ぜひ足を訪れて、自分だけの新たな世界を感じてみてください。
★黒木靖之さんへの詳しいインタビュー記事はこちらになります。こちらもぜひご覧ください!
【本社・中学校工場】
〒893-2505 鹿児島県肝属郡南大隅町根占辺田3222(旧登尾中学校)
【製販元・小学校工場】
〒893-2505鹿児島県肝属郡南大隅町根占辺田3310登尾小学校跡
大杉祐輔