「ゴールドビーチをいかに楽しんでもらえるかが、地域づくりの鍵になるんじゃないかと考えています。僕にとっては、雄川の滝や佐多岬に負けないぐらい魅力的な場所ですね。」
そう語るのは、「道の駅根占」の駅長、前田大志(まえだ・たいし)さん。2021年4月から道の駅の運営主体が変わり、お店の雰囲気や品揃えが大きく変化した。それに伴い、地元の方々が道の駅に足を運ぶことも多くなっている。道の駅根占の方向性はどう変わり、どんなポイントがリニューアルされたのだろうか?
まず変わったのは、商品のラインナップだ。これまでは鹿児島県内の食品を中心とした土産物販売が中心だったが、現在では地元産の商品が増え、ドリンク・軽食といった道の駅オリジナルのテイクアウトメニューも楽しめる。「道の駅は観光客のお客様にとって、地域の魅力にアクセスしやすい場所。だからこそ、地元の商品を通してもっと南大隅の魅力を伝えたかったんです」と前田さんは話す。
地元で人気の「田中精肉店」のコロッケや、廃校となった小中学校を工場として自然派化粧品を作る「ボタニカルファクトリー」のシャンプーなど、ラインナップもバラエティ豊か。地元の声やスタッフのアイデアを聞きながら、どんどん追加しているとのことだ。
また、お店の内装・外装も大きくバージョンアップした。「僕は指宿の出身なのですが、ゴールドビーチの美しさに惹かれて移住してきました。夕日はもちろんですが、四季によって全く表情が変わるのが魅力的なんですよ」と前田さんは笑顔で話す。実際、ゴールドビーチの夕日に惚れ込んで南大隅に移住を決める人は多い。夏には海水浴場として多くの人が訪れ、毎年8月ごろにはウミガメの放流イベントが開催される。地元の方々にも愛されている、南大隅の絶景スポットの一つなのだ。
そんなゴールドビーチをもっと楽しめるように、地元・大浜自治会の大工さんの協力のもと、店舗の前にバルコニーが作られた。店内の飲食スペースも、海の景色を楽しめるように座席が配置されている。コーヒーを飲みながらゆったりくつろぐもよし、オリジナルドリンクや食事を楽しむもよし。打ち合わせにも使える、最高のカフェスペースだ。
さらに、お店の奥には広々としたフリースペースが用意されている。「毎週土曜日は、このスペースでヨガ教室が開かれています。ご家族連れでのんびりしてもいいですし、イベント用に貸し出しもできます。地元の方々が交流するきっかけになればいいですね」と、前田さんは笑顔で話す。
そんな道の駅根占は、これまでになかった新たなビジョンを打ち出している。
「運営主体が移るにあたって、これまでの「道の駅根占」から「道の駅根占Marina」としてリニューアルすることになったんです」と前田さんは言う。
「Marina」(マリーナ)とは、レジャー用のボートを停泊させるための港のこと。ハワイのワイキキにあるマリーナは世界でも有名で、周辺には観光客が楽しめるようなレジャー施設も多く展開され、一大レジャースポットとなっている。
「地域に根差して魅力を発信する場所だからこそ、地元の方々がもっと気軽に利用できる場でありたい。この場所を通して、地域のさまざまな観光スポットや人がつながっていくように。そんな思いを込めて『Marina』という名前を追加することにしたんです。」と前田さんは熱く語る。実際、リニューアルしてから地元の方々が足を運んでくれるようになり、家族づれで遊びに来る地元民も増えているそうだ。
道の駅根占は、根占から佐多に向かう海沿いに位置している。大河ドラマ「西郷どん」のオープニングに起用されてより有名になった「雄川の滝」から訪れやすく、本土最南端の「佐多岬」を観光するならほぼ確実に目の前を通ることになる。「雄川の滝や佐多岬は絶景ですが、天気が悪いと十分に楽しめなくなってしまうのも事実です。道の駅はどんな天気でも楽しめるので、ぜひいつでも遊びに来てほしいですね」と笑顔で語る。
道の駅根占は、地域の魅力にアクセスできる前線基地だ。季節によって表情が変わるゴールドビーチを眺めながら、ゆったりとした大人のひとときを過ごすのもいい。ぜひ訪れて、あなただけの魅力を発見してみてほしい。
〒893-2504 鹿児島県肝属郡南大隅町根占山本6868
大杉祐輔