「お店の内装はほとんど手作りでやりました。この机なんて設計図もなしに作り始めたんですよ!」少年のように明るく笑いながら話すのは、南大隅にオープンしたお弁当屋さん「TORAYA」の店長、藤井秀紀(ふじい・ひでき)さん。2020年の12月にオープンし、もうすぐ1周年を迎える。地元に愛されている飲食店の一つだ。
人気の秘密は、メニューの豊富さと抜群の美味しさ。唐揚げ、チキン南蛮、カキフライといった子供も大人も大好きなメニューから、こだわりの参鶏湯(サムゲタン)、上品な甘さのスイートポテトまで。幅広いメニューはほとんどが手作りで、藤井さんの創意工夫が随所に盛り込まれている。
「最近はコーヒーも始めたんですが、イチから勉強しています。コーヒー豆はやっぱり手で轢くのが美味しいでのですが、こだわりすぎるとどこまでもいけてしまう。バランスが難しいですね」と、藤井さんは笑顔で話す。スイーツもコーヒーも、全く経験がないところから始めて今の形まで持っていったとのこと。お店の内装も、ご家族の協力を得ながらほとんどDIYで仕上げたというから驚きだ。
南大隅には、大河ドラマ「西郷どん」のオープニングで起用されてますます人気になった「雄川の滝」、日本中のツーリストが集まる本土最南端の「佐多岬」など、家族でも楽しめる観光地を目指してくるお客さんが多い。「うちのお店は国道沿いにあるので、雄川の滝・佐多岬の観光帰りに寄っていただけることが多いです。帰り道で小腹が減ったり、夕食の一品にしたりということで、お惣菜を買ってくださるお客様もいますね」と藤井さんは語る。
そんな藤井さんがお店を始めたきっかけは、まさに『やりたくなった』から。
「私は高校時代を鹿屋で過ごしたのですが、卒業後はすぐに県外で働いてきました。結婚したパートナーが南大隅の出身で、根占で働いている関係でこちらに暮らすことになって。居酒屋で働いていた経験もあり、どうせなら好きな料理で独立してみたいと思ったんです。」
お店づくりは、電気・水道関係の仕事をしているお義父様と二人三脚で行った。「地元の方々が木材をくださることもあり、色々とサポートをいただきました。今後もチャレンジ精神を持って、皆さんに喜んでもらえるようなお店にしていきたいです」と、藤井さんは笑顔で話す。
TORAYAは、地域で挑戦する藤井さんの「ワクワク感」を一緒に楽しめるお店だ。美味しいメニューでお腹を満たし、少年のように物事を楽しむ姿勢に心も満たされる。地元に愛されるお弁当・お惣菜屋さんで、お気に入りの一品を探してみてはいかがだろうか。
〒893-2501
鹿児島県肝属郡南大隅町根占川北1350−1
大杉祐輔